8月の古東だより
2021.07.29
古東だより
東京オリンピックが開幕、日本選手の活躍に目を奪われます。メダルを取った選手のインタビューを聞くと、必ずと言っていいほど挫折を味わっていることがわかります。立ち直る経験があったからこそ強くなれるのだなと、あらためて感じます。“グリット”という言葉をご存知でしょうか。「やり抜く力」という意味です。保育園で子どもたちにつけてあげたい力です。では、どうすればその力がつくのか。小さなつまずきを繰り返し、立ち直る経験を重ねることです。皆さんに是非ご理解いただきたいのがわたしたち保育士の役割です。子どもたちが立ち直るための援助をすることも大切ですが、「小さなつまずきの機会を与える」ことも大切な役割であると思っています。怪我の考え方も同じです。小さな怪我を繰り返すことで、自分の身を守れる子どもになってほしいのです。怪我のないよう、嫌な気持ちにならないよう、四六時中保育士が監視するような保育だったとしたら、どうなるでしょうか。子どもの行動範囲はどんどん狭くなり、大人の目を気にするようになり、大人なしでは何もできない子どもになります。そんな子どもがこの先の厳しい社会を生き抜くことができるのでしょうか。私はそうは思いません。小学校以降は保育園のように事細かに面倒をみてくれません。だからこそ、今できることをしてあげたい。保育という仕事に長年携わり、子育てを経験して心からそう思います。
誤解のないように申し上げますが、大小にかかわらず怪我はさせたくありません。責任を放棄するということでもありません。私たち大人が長期的な視点をもって子どもたちを支えていく必要性を感じています。