6月の古東だより
6月です。子どもたちは毎日楽しそうに園生活を送っています。園庭での遊びが盛り上がっています。プールあそびも始まります。今年は寒暖差が激しいため、体調管理に気をつけてまいりましょう。
さて、お子さんの成長に不可欠なものが「情緒の安定」です。「情緒の安定」とはわかりやすく表現すると、「安心して過ごせる」ということです。安心して過ごすためには、安心できる人が必要です。お子さんにとっては家族の皆さんがそれに当たります。そしてお子さんが安心できる「人」や「場所」のことを、「安全基地」といいます。お子さんがマイナスの感情になった時に、いつでも帰って来られる場所です。無条件で受け入れてもらえる場所です。この安全基地があるからやってみようと思える。チャレンジしてみようと思えるのです。入園した時泣いていたお子さんが、少しずつ泣くのをやめて覚悟を決めるのは、「この時間になったらお迎えに来てくれる」という見通しを持てるようになるからです。これも安全基地があるという確信です。さらに、園生活に慣れてきたお子さんは次第に、保育園にも安全基地をつくります。信頼できる保育者やお友だちです。この安全基地は、多ければ多いほどいいのです。
先日中野市で痛ましい事件がありました。容疑者が経験した苦しみは、私にも身に覚えがあります。「ぼっち」という感覚。まわりからどう思われているのだろうか?という疑心暗鬼。救ってくれたのは本であり、声をかけてくれた人であり、熱中できることであったような気がします。罪を犯すかどうかは別として、このような経験は誰にでもあるはずです。彼にとって安全基地はなかったのだろうか。家庭は安全基地だったのだろうか。家庭のほかに安全基地があったとしたら。彼は救われていたのでしょうか。