残暑厳しい毎日が続いております。なるべくこの暑さを深く考えず、たんたんと過ごすようにしていました。「今年の夏はどうしてこんなに暑いの？」という言葉にも過剰に反応しないよう努めてきましたが、やはり暑いものは暑いです。冬が待ち遠しいです。

　今いろいろなスポーツ大会が開催されています。世界陸上が終わったところですが、女子中長距離のエースである田中希実さんのコメントが印象に残りました。昨年の世界陸上。思うような成績ではありませんでした。「オレゴン（2022年の大会結果）はすごくむなしくて悲しくて。何の悲しみかわからなかったのですが、その悲しみが怒りに変わって、怒りとともに１年間努力をしてきた。でも、やっぱり怒りだけじゃなくて、自分自身への許しが必要なのだとこの大会で初めて気づくことができた。それを気づかせてくれたのは、いろんな支えがあったから。本当に私１人じゃここまで来られなかったので、感謝の気持ちでいっぱいです」。

不甲斐ない自分自身への怒り。でもこの怒りは本質的ではないことを理解し、そして自分を許すことへつながります。自分を許せるってとても重要です。さらに、それに気づかせてくれたのは周りの支えであったこと。そして最後に感謝なのです。この順序が大切だと思っています。

　私たちは子どもに「感謝しなさい」と教えたくなります。でも、感謝の気持ちを抱くには体験が不可欠です。困った時に助けてもらったり、前向きになれるような言葉をかけてもらったり。そのときの「うれしかった」気持ちを表すのが感謝です。さらに私たち大人が、子どもに対して「ありがとう、うれしかったよ」と言葉にしていくことも大事ですね。